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「時効廃止」で考えなければならないこと。

殺人事件などで現在最高で25年となっている「時効」を廃止することを、法制審議会が諮問しました。これによって、年内にも刑法の改正が行われることとなりました。

関連ニュースのURLは、http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012801000723.html

今日、法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会は、人を死亡させた罪のうち、殺人や強盗殺人など最高刑が死刑の罪は時効を廃止し、傷害致死など懲役・禁固の罪は時効の期間を現在の2倍に延長するとの法改正の要綱骨子案をまとめました。

それによりますと、現在殺人など最高刑が『死刑』となっている犯罪については、最高25年となっている時効を『廃止』、最高刑が『無期懲役』又は『禁固』については現在15年となっている時効を30年に延長、『有期の懲役刑』又は『有期の禁固』については現在10年を20年に延長にするとなる見通しです。

私は、今回の「時効廃止」について、ある程度はやむを得ないかもしれませんが、果たして「時効廃止」で被害者の無念が晴らされるのか、疑問に思うのと同時に、「足利事件」のように冤罪事件が起こるのではないか、不安がよぎるのです。

それは、今回の諮問でこれまで以上に「形を変えた敵討ち」になる懸念がいっそう強まってくる感じがします。

本来、犯罪被害者への救済は「犯罪者の刑が確定していても、いなくても責任を持ってすべべき、但し犯罪者への敵討ちになる行為は『被害者を犯罪者にする』行為で、絶対に許されない!」とあるべきなのです。しかし、今回の諮問は「被害者の感情を最大限に汲み取った結果」としか思えません。

諸外国の例を見てみますと、時効が無い犯罪でも、実際の捜査は5年~10年で終わるのが現実で、それ以外は未解決事件専門の捜査官が「新たな証拠があれば捜査する。」といったもので、今回の諮問のように、被害者の感情に任せて容疑者逮捕まで永久に追い詰めることはしません。

そうなると、「時効廃止」を決めるならば、もう少し実態に即した捜査体制にする必要があるのではないでしょうか?いつまでも「容疑者を逮捕まで追い詰める」ことが、結局捜査を困難にするだけですし、もしこれで容疑者を逮捕しても、時間が経っていると、事件当時の供述もあやふやになりやすいのです。それにその容疑者も本当に『犯人』なのか、疑い深いのです。

ハッキリ言います。もういつまでも「被害者重視・犯罪者蔑視」の姿勢は、結局『冤罪』を生むだけなのです。