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バス事業は「規制緩和」するべきではない業種だ!

今回のゴールデンウィークの初日に起こった痛ましい事故、果たして本当に「運行した(観光)バス会社」だけの責任なのでしょうか?

去る4/29(日曜日・昭和の日)の早朝、群馬県藤岡市関越自動車道で金沢から東京ディズニーランドに向かっていた『格安ツアーバス』が道路上の防音壁に激突し、乗客8人が死亡、運転士(?)を含む20人余りが重軽傷を負う事故がありました。

このバスを運行していたのは楽天トラベルなどの旅行業者が販売した『格安ツアーバス』の運行を委託されていた千葉県印西市の「陸援隊」という(観光)バス会社で、運転していた運転手の居眠り運転が直接の原因だと言われているのです。

ただ、私が考えるのはこの事故の本当の原因は『小泉改革』による「市場原理主義」がもたらした当然の帰結だと思うのです。

以前のバス事業は路線バスを運行する会社による事実上の「地域独占」だったのを、小泉改革によってそれまでの「免許制」による事業を大幅に規制緩和するとともに、旅行業者にも高速路線バス事業への参入を認めることになったのです。この結果楽天トラベルやJTBなどの大手旅行業者が挙って参入し、激しい価格および顧客獲得競争が繰り広げられることになりました。

しかし、改革の当初から専門家からの安全などに関する指摘にも関わらず、これらの『格安ツアーバス』による事故は後を絶たず、この事故の以前にも大阪府内の名神高速道路でも死傷者を出す事故を起こすなど、この手のバス事業に関する問題は今までもありました。

ただ、今回の問題は単に「運行した(観光)バス会社」だけの責任問題ではないはずです。確かに報道にもありますとおり、運行している(観光)バス会社の側から「日雇い」雇用の運転手の問題や、運行指示書を渡していなかっただとか、(観光)バス会社側にあたかも責任があるように見せかけています・・・・。問題は運行側だけではないはずです。

これらの『格安ツアーバス』のチケットを販売した楽天トラベルの側にも責任の所在はあるのではないでしょうか?

現実に事故の被害者や遺族宛に「ご乗車はいかがだったでしょうか?」といった内容のメールが送られるなど、これだけの大惨事を起こしたのにも関わらず、被害者の感情を逆なでする行為※をするなど、楽天トラベル側の誠意が全くない姿勢がありありと見受けられます。

※これについてはシズテム側の都合でどうしても送られてしまう、といった指摘もありますが、事故の起こった時間から考えますと早急に配信を止められなかったのでしょうか?

チケットを販売するにしても、ただ、売ればいいと考えてはいなかったのでしょうか?運行を委託するバス会社に対する指導が全く不十分だったのでしょうか?

これに対して、夜行高速バスを運行している路線バス事業者の側にしても車両の整備不良や運転手に対する無理な運行日程、路線の廃止の拡大など『小泉改革』によってかなり規制緩和された部分による問題が多く、必ずしも「安全」とはいえないところがあります。

このような『規制緩和』によって、果たして利用者の利便性は向上したのでしょうか?私は『NO』だと思います。

今回の事故は、またしても『小泉改革』によって引き起こされた惨事だと考えるのです。特に国民の生命を守るべきバス事業がこのような「市場原理主義」によって、単なる「サービス産業」に成り下がるのは結果として地域経済、果ては日本経済全体の衰退を反って促進させるだけであることがハッキリしました。もはや、バスは「サービス商品」ではなく、『社会インフラ』なのです。

今回の事故を契機にバス業界全体の『真の構造改革』を進めると共に、「規制緩和」するのではなく、逆に「安全に関することは規制強化、サービスに関してはある程度保護しながら適正な緩和」の方向に向かうべきなのではないでしょうか?